ご挨拶

代表世話人
天野 恵子 (千葉県衛生研究所 所長 / 千葉県立東金病院 副院長)

性差医療・医学研究会が2003年8月25日に正式に発足し、活動を開始することとなりました。

■ 性差医療・医学研究会の経過

2003年3月1日、幕張メッセにて「ジェンダー・センシティブ・メディシン(男女差に優しい医療)」に関する国際シンポジウムが、海外からの講演者を招き(主催:WHO神戸センター世界保健機関健康開発統合研究センター)開催されました。翌日、米国における性差医療の第一人者コロンビア大学 マリアンヌ・レガート教授を招き、千葉県堂本暁子知事、厚生労働省雇用均等・児童家庭局岩田喜美枝局長、WHO川口雄次所長の出席のもと、性差医療に関心の深い日本全国からの研究者40名が意見交換会を開きました。

近年、日本では性差を考慮した医療・医学に関する研究ならびにその応用が急速に展開しつつあります。一方、行政側でも医療のあり方のモデルとして性差を考慮した女性医療が取り上げられ、性差を考慮した医療・医学研究は医学の分野のみにとどまらず、行政分野と大きく連帯を結ぶことになりました。その後、堂本知事ならびに千葉県衛生研究所天野恵子所長を始めとする研究者は、さらなる性差医療・医学の発展を目ざし、性差医療・医学に関する研究会立ち上げの準備を進め、8月25日の世話人会にて会則が承認され、正式に研究会として会員募集の活動を開始することになりました。

■ ジェンダーと女性専用外来

ジェンダー・センシティブ・メディシンとは、男女の生物学的性差、社会的な男女の位置付けと相互の関係性、男女それぞれにみられる特有の疾患や病態などの医学的な実証に基づいて行う医療のことです。この分野はアメリカに遅れをとること約10年、しかし過去2年の間に日本でも全国に開設された女性専用外来において顕著な発展を見ています。

2001年5月に鹿児島大学を手始めに、同年9月、11月にそれぞれ千葉県立東金病院、東京顕微鏡院付属診療所で立ち上げられた女性専用外来は、ジェンダー・センシティブ・メディシン実践の場として機能し、これらをモデルにした新しい女性専用外来の誕生を日本全国にもたらしています。各地の女性専用外来の運用形態は多様ですが、いずれもその多くが患者さんから高い評価を得ており、いまだに診療予約は数ケ月先まで一杯という状態も続いています。

女性専用外来では、多くの社会的困難を抱えた女性患者の受診があることや、更年期、老年期の多岐にわたる症状に対して的確な診療を行う必要から、現場への「性差医学によって実証された医療」の導入が不可欠です。これに応えるため、医学研究者、医療従事者、社会学者ならびに行政関係者が、専門領域の枠を越えた協力体制により、基礎・臨床・疫学研究を進め、その研究成果が医療健康施策と実践ならびに医学教育に反映されることを目的に性差医療・医学研究会を立ち上げ、活動を開始いたします。